チャンピオンベルトは寝て待て

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | --/--/-- --

餓魚。

ああ、腹が減った。



いいかい?よそ者のお前に、ここでの生き方を教えておいてやろう。

ここでは、俺が最も強い。俺に逆らうと生きてはいけない。

俺は、他のヤツらとは一枚違う。勿論、お前とも違う。

生きてきた年数が違うなんて簡単な話とは違う。

知識が違う。経験が違う。潜り抜けてきた修羅場の質が違う。数が違う。

生きるための技術が違う。生きるための貪欲さが違う。生きたさが番う。

だから、幾つもの冬を越すことができた。



動き難くなるほど水が冷たくなると、冬っていう季節が来たことがわかる。

冬になると、まず食い物が少なくなる。

だから俺は、冬になる前に食いだめをしておく。それでも腹は減るがな。

冬になると、水面には大量の赤色や茶色の枯葉が絶え間なく流れる。

おかげで陽の光が遮られて、ただでさえ冷たい水が、さらに冷たくなる。

そして、水が身を削るほどキンキンに冷たくなると、俺たちはいよいよ動かなくなる。

そうなると、ほら、こうやって岩場の影なんかで大人しくしている。

寒いし腹が減るからな。



俺は、口に入る大きさの物なら、何でも食う。石とかは無理だぞ。言葉のあやだ。

少々不味くても、自分の口より小さいヤツで、食える物なら何でもだ。

これが生き続ける秘訣。単純だが、最も大事なことだ。

そこいら辺の小さいヤツらなんかは、チマチマと岩についてる藻や小虫をつっついている。

こいつらがまた笑わせてくれるんだ。

寒さをしのいでいる岩場の藻や虫を食えてるうちはいいんだが、食う物がなくなると、フラフラと別の岩場に移動しやがる。隙だらけだ。

そんなとき、ヤツらにとって運悪く俺の腹が減っていたら、

ガブー!

ひと飲みだ。


そのためか、冬を越すごとに、ここいら一帯で小さいヤツらをあまり見なくなった。

知恵をつけたのか、俺が入れない場所で震えてやがるのかどうかはわからない。

大事なことは、小さいヤツらがいなくなったってことだ。

俺の腹が満たされない、ってことだ。

藻や小虫なんて、いくら食ったって腹の足しにもなりはしない。



ああ、腹が減った。



もうひとつ、面白い話を聞かせてやろう。神様の話だ。

水面にゴチョンと音がしたかと思うと、ふいにミミズや小魚が目の前に現れることがある。

そいつは、沈みもせずに変な動きをする。

少し沈んだかと思うと、思い出したようにピクピクっと動く。

眠ぼけているのか病気なのか癖なのか、そんな不自然な動きを延々くり返すワケだ。

そりゃ、食い物だと思って丸飲みにするだろう?誰だってそうする。

しかし、それじゃあダメなんだ。ここで生きる為には、注意力が必要だ。

そのミミズを丸飲みにしたヤツは、大抵、苦しそうにもがく。

もがいてもがいて、もがく。

もがき疲れて力が抜けたとき、水面に向かって急上昇し、フワリと外に飛び出すんだ。

そして、そのまま帰っては来ない。二度とな。

きっと神様がお迎えに来たんだろうな。

苦しんで死ぬより、死んで他のヤツの食い物になるよりよっぽどいい。

今ある姿のまま、天に連れてってくれるんだからな。

だから俺たちは神様と呼んでいる。ミミズや小魚の形した神様。



色んなことを知ってるだろう?

いくつも冬を越えていると、色々な知識が身に付く。

ここら辺で俺を越える博識なヤツなんているのか?



ああ、腹が減った。



話はここまでだ。腹が減って何を喋ってるかわからなくなってきた。

続きは暖かくなって、お前がまだ生きていたらな。



ゴチョン。



お、小さいヤツがフラフラと泳いでやがる。食い物じゃん。

まあ待て、俺が先だ。見てろ。

ピクピク動いてるが、眠ぼけているのか病気なのか癖なのだろう。
スポンサーサイト
天使ログ | trackback(0) | comment(0) | 2009/03/31 Tue
<< キーホルダーからの脱却。 | home | レコ発ライブと痔と私。 >>

Comment


Comment form


管理者にだけ表示

Trackback

この記事のトラックバックURL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

| home |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。